- 2024年7月19日
裁判所では、使用者側の注意義務違反で発生した業務災害について就業規則等で賃金請求権につき民法536条2項の適用を排除する明文規定がないため本条項を適用して使用者に賃金全額支払いを課すという判断が相次ぎました
労働者側から会社にこのような請求をする事件が増加していることを踏まえると任意規定である民法536条2項の適用を排除しておく必要があるかと思います
民法536条2項:債権者(会社)の責めに帰すべき事由により債務者(従業員)が就労できなくなった場合、債務者は反対給付である「賃金請求権」を失わず100%の賃金請求が可能である (本規定は任意規定であるため労使合意により0%とすることも可能)
【規定例(休業中の賃金)】
従業員が債務の本旨に従った労務提供ができるにもかかわらず、会社の責めに帰すべき事由により従業員を休業させた場合又は業務上の災害により従業員が休業となった場合には、民法536条2項の適用を排除し賃金を支給しない 但し、前者の場合は労働基準法26条に定める平均賃金の100分の60に相当する休業手当のみを支払う